広報「やまゆり」第88号

よい羊飼い

健軍教会 渡辺 隆義神父
皆さまいかがお過ごしでしょうか。新型コロナウイルス感染症の拡大が心配される最中の4月15日に天草から健軍教会に異動になり、早や4か月を過ぎてしまいました。そして今も新型コロナの終息は先が見えず、いわゆる「新しい生活様式」を実践するために従来のさまざまな教会活動に制約があります。
そんな中、先月7月25日と26日にはヨゼフ・アベイヤ司教様の司牧訪問がありました。司教様と出会った方は異口同音に「気さくな司教様」との印象をのべています。エピソードをひとつ。健軍教会聖堂内の司式司祭席を私は内陣の一段上の中央から下段の右側に移動しました。そこでアベイヤ司教様に「司教様のために、もともとあった中央の少し高いところに椅子を戻しましょうか」とお尋ねしたところ、「いいえ、神父様と同じようにしてください」と言われました。
司教様の人となりが垣間見えたやりとりでした。司教様は教区内の信徒、修道者、司祭たちの考えをよく聞きながらこれからの教区の方向性を示してくださることでしょう。主任司祭として私も見習いたい姿勢です。\r\nよい羊飼いは自分の羊の名前をおぼえて一匹一匹を大切にする(ヨハネ 10:3b)とイエス様はおっしゃっていますが、この点では私はよい羊飼い(主任司祭)にはなれそうにありません。
というのは、昔から人の名前を覚えるのは苦手だからです。ちなみに、アベイヤ司教様は福岡教区長に任命されるとすぐに教区の70 名ほどの司祭たちを写真と履歴書で一人ひとり覚えられたということです。
ということで、いろいろ不足欠点がある私ですので、大きな忍耐をもって宣教司牧にご協力いただけましたらありがたいです。

アベイヤ司教様のご訪問

早田 明子

ヨゼフ・アベイヤ司教様が7月26日(日曜日)に健軍教会を訪問してくださいました。さゆり園の遊戯室への途中、ツバメの落し物がこんもりとあり片づけようと聖堂から出たところ、「おはようございます。」と普通の格好のノッポな方が見え一瞬ハッとしましたがすぐ「司教様おはようございまず。」と答えてました。
「なんとなく気さくな司教様」が第一印象でした。
ミサの説教の中で心に残った事は愛といつくしみの心を持ってはじめての人、知らないにも大切にかかわる事、それが宣教であり司牧であるという事でした。
私は自分がカトリック信徒だと自信をもって人に伝える事が出来ませんでしたが愛といつくしみの心で人に接する事なら努力すれば出来そうな気がして来ました。
ヨゼフ・アベイヤ司教様はスペイン、バルセロナの北部カタロニア正しくはカタルーニャの出身の方で、またバルセロナはスペイン最大の港町で旧市街の中心にはカタルーニャ広場があります。そこに有名なサグラダファミリアの教会があり頂上に十字架をつけた尖塔があります。天才といわれたアントニオ・ガウディの代表作で、1844年に造り始めましたが「誕生のファサード」だけが完成、その他は未だに未完成で、ガウディ自身は1926年に交通事故で亡くなりましたが、教会の裏の石切り場では今でも石工が石を刻み、建築を続けています。
またカトリックはスペインの心の糧と言われる程熱烈なカトリック教国である事を忘れてはなりません。 16世紀、宗教改革に全ヨーロッパが揺れ動いた時スペインはカトリックの防衛に全力を挙げ、イグナチウス・ロヨラ(渡辺神父様の週報7月26日号に掲載された典礼歴で、「7月31日(金)イグナチウス・ロヨラ記念日」と掲っていたのでびっくり)やフランシスコ・ザビエルなど偉大な宗教運動家を輩出しました。
スペイン人の生活の支柱がカトリシズムです。と言っても狂信者ではなく、信仰親切な人たちです。
(参考文献:世界文化シリーズ スペイン・ポルトガル 世界文化社 1942 年刊)
また、健軍教会でのミサに先立って、前日の7月25日に司教様の強いご希望で益城町における地震復興状況を視察されました。出崎教会委員の取り計らいで益城町議会議長稲田忠則様にご同行と説明をして頂き、木山仮設団地、国の天然記念物に指定された布田川(ふたがわ)断層帯(堂園地区)などを視察され、今も残る熊本地震による影響を心に刻まれました。 (野々目 記)

聖母像移設にあたって

幼子イエス様を抱いた聖母マリアの御像が健軍教会の登り口に設置され、8月15日(聖母の被昇天)に祝福式が行われました。マリア像は旧さゆり園の園庭にあったもので支柱の裏側には 2013年3月2日の刻印があります。今年3月末の閉園までずっと園児や職員や保護者の皆さんは穏やかな聖母子の姿に癒されていたことだろうと推測しています。
この聖母像を現在地に移設することにしたのには理由があります。それは「福音宣教」という観点からです。これまで聖母像は置かれていた場所からも分かるように、さゆり園の関係者や健軍教会の信者の皆さんのためでした。これからは地域社会の人々のための聖母像となります。地域の皆さまからも愛される御像になってほしいという気持ちがありますし、マリア様もこのことを喜んでおられるのではと思います。そのためには、私たちがこの聖母像を大切にしているということを何らかの形で示し続けることが必須です。(主任司祭)

令和 2 年度信徒総会を終えて

信徒会長 清田 征一
今年度の信徒総会は、コロナウイルス禍のため開催日が遅れましたが、出席者34名、委任状7枚(名)で7月19日に開くことができました。
主任司祭の挨拶に続き、令和1 年度の会計決算の報告があり、収入として多くの一般献金があったこと、火災保険の支払いを1年契約から5年契約に変更したため多額の支出があったことの話がありました。
令和2年度の予算については、本年度の収入予算と支出予算において本年度の収支からマイナス予算でありましたが満場一致で可決、成立致しました。
また、旧さゆり園の今後の使用について地区で検討するよう話しました。

お知らせ

AED(自動体外式除細動器)が司祭館玄関に設置されています。
AEDとは、突然心臓が正常に拍動できなくなった心停止状態の心臓に対して、電気ショックを行い、心臓を正常なリズムに戻すための医療機器です。


使用方法の概略は上の図のとおりで難しくはありませんが、環境が整い次第使用講習会を実施する予定です。

(編集後記)

4年前の熊本地震の記憶が徐々に薄れ、災害に対する危機感が薄れていたところに突如降りかかったコロナウィルス禍に対応すべく慣れない生活様式に苦しみつつ適応しようとしている中で更に発生した熊本県南部地方などを襲った豪雨災害。神様が私たちに課せられた試練から私たちは多くのことを学ぶ必要があることを知りました。安穏とした生活の中で信仰を保つことは実はとても難しく、試練の中で見出した神様の存在はとても大きかったのです。
改めて災害で亡くなられた方々の平安と、今必至で災害からの復興に身体と心をすり減らしておられる方々の癒しが主イエス・キリストによって与えられることをお祈りします。

主の平和。
野々目 洋